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【OSS】気象衛星画像の見方(1)

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こんにちは、3週間前の運動会で焼けた腕が未だにヒリヒリ痛い、きた@気象予報士です。

考えてみれば、6月はじめの陽射しは、梅雨明け直後の陽射しと同じくらい強いですし、無防備に一日外で焼けば、そりゃお肌のダメージも大きいはずです。
子ども達が遊びふける?8月の夏休みも、陽射しの強さでいえば5月GWごろと変わらないですし、もう4月から9月までは、引きこもっていようかなと思いたくもなります(爆) 
あ、2月からは花粉も飛ぶので、この際もう(以下略

さて、科学技術の進歩は目覚しいもので、気象衛星画像も昔に比べて格段に精度が上がっています。
気象衛星の画像は、気象状況を把握する上でもっとも重要な情報源の一つですが、気象庁のホームページなどで公開されている気象衛星画像は、主に3種類あるのをご存知でしょうか?


 
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左から、可視画像、赤外画像、水蒸気画像 となっています。(クリックすると拡大。)
※ いずれも、同じ日の同じ時間で、見やすいようにやや画質調整を行っています。

(1)可視画像

その名のとおりで、目で見える状態と同じく、地表や雲などから反射した光を撮影したものです。
雲の種類や厚さによって、反射する光の強さが異なることを利用しています。
分厚い雲や、赤外画像ではわかりにくい下層の雲も、太陽光を反射していれば撮影が可能で、流氷や強い黄砂なども確認できます。また分解能が高いため、雲の形状が分かりやすく、雲形の判別にも有効です。
最大の欠点は、太陽光が届く昼間しか撮影できないことです。また、上層の薄い雲も判別しにくい面があります。

(2)赤外画像

こちらもその名のとおり、雲などから放射される赤外線を感知して撮影しています。
一番の利点は、可視画像と違って赤外線を感知するため、昼夜問わず撮影が可能なことです。
放射される赤外線は、雲の温度によって強さが異なります。例えば下層にある雲は地表付近の熱によって暖かく、反対に上層にある氷でできた雲はとても冷たいですね。この違いを白黒で表現していて、冷たい雲ほど白く表現されます。詳しく解析すると、色合いによって雲の高度が推測できます。
欠点としては、下層の薄い雲は温度が高いので、周辺と区別が付きにくく判別しにくいことや、真っ白に輝いている雲が分厚い雲なのか上層の雲なのか、それだけでは区別が付きにくいことなどがあげられます。

(3)水蒸気画像

上のふたつと違って、水蒸気画像をまじまじと眺めることは少ないと思います。
水蒸気画像は、大気中の水蒸気が吸収しやすい波長帯に特化して撮影したもので、大気の中層~上層にかけて水蒸気が多く含まれるほど白く、逆に乾燥しているほど黒くなります。
この画像は、大きな大気の流れを把握するときにとても便利で、例えばジェット気流や上空のトラフ(気圧の谷)の動向、低気圧の発達具合などが判別できます。たまに、赤外・可視ともに不明瞭なエリアに、大きな渦巻きが見えたりするのも面白いです。

今回は、それぞれの画像の特長について、簡単にまとめてみました。
実際には、これらの画像を組み合わせて雲の様子を判断します。
上の3枚の画像でも、特徴的な雲が見てとれますが、このお話はまた次回にとっておきますね♪

なお、今回使用した
気象庁の衛星画像(但し最新版)はこちらからどうぞ。

奥出雲サイエンススクエアでは、日常の科学分野に関する皆さまふとした疑問に、
スタッフが可能な限りお答えします。
また、この記事などがきっかけで、ぜひ科学分野に興味をもってもらえたらと願いつつ・・・。
なお、記事の内容は、ほとんど担当の記憶で書いていますので、誤りのご指摘や
異なった見解、ご意見ご要望なども、ぜひお待ちしています。 

諸々のあて先は、以下の通りです。
support@okuizumo.ne.jp

では、また次回もお楽しみに___〆(・ェ・^)そほど。

(きた)

 

 

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気が付けば、前回の更新から4ヶ月が過ぎました。
ご存知の方も多いと思いますが、1月末に行われた第47回の気象予報士試験に、このOSS担当の「きた」が奇跡的に合格でき、このほど気象予報士として気象庁長官に申請し登録されました。

第47回の試験では、山陰地方での合格者は2人で、もうひとりは新聞などで話題になった高校生、この2人が偶然にも同じ自治会とあって、良い意味で町内をお騒がせをしました。(高校生の話題に便乗させて頂きましたが、基本出しゃばりなモンですみません^^;)
とはいえ、これまでお天気の話題を中心にこのブログを書いてきた手前、「趣味の延長の戯言」⇒「名実が伴ったブログ」 というアップグレードにつながることは事実なので、さらに研鑽を積んでいこうとスタッフ一同意識を高めているところです。

さて、そうこうしているうちに、第48回の気象予報士試験の要綱が発表されました。
この試験は、気象庁長官より
(一財)気象業務支援センターが受託していて、試験案内はここから入手できます。私は合格まで3回ほど、いずれも大阪で受験しました。(奥出雲から一番近いのは、大阪or福岡)

大雑把な説明をすると、午前中に学科試験(マーク式)が2種あって、気象に関する「一般知識」と「専門知識」が出題されます。この両方に合格すると、午後の実技試験(記述式で2種)について、初めて採点資格がもらえます。※学科試験が両方受かっていないと、午後の実技は採点すらしてもらえません。

また、過去に「昔ながらのNHKラジオの気象通報(地上天気図を作成するためのラジオ)が出来たら大丈夫か?」と聞かれたことがありますが、それだけでは合格は100%不可能です。実技試験では、学科で学んだ知識と、様々な気象図を読み取る力、そしてそれらを題意に沿って記述できる力が試されます。

以下の画像は、第47回の実技試験で出た図の一部を纏めたもので、気象衛星の画像のほか、基準となる気圧面の高度を等高度線で表した図や、鉛直流や湿数を示した図、そのほか様々な図が出てきます。こういった図が10枚以上あって、そこから実況や予想を記述します。(前線等を解析し作図する問題もあります。)

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それでも、第47回試験は比較的素直な問題が多く、受験者のSNSでも「今回は簡単だった」という声が大勢でした。合格率は4.9%で、ここ3年では一番高かったのが幸いでした。

ちなみに、まめなかねットのランキングでもありましたが、わりと多い誤解に「気象予報士=予報ができる」ということがあります。

(以下、コピペ)

じつは、これは正解でもあり、間違ってもいて、予報士は、法律上は気象庁以外に唯一、社会へ予報を出すことが出来る資格を持っていることになります。で も、実際に業務として予報をするには、個人または事業所として気象庁長官に申請し、許可を得る必要があります。(逆に、業務ではなく、たとえば自治会のお 祭りの日の天気を予想する・・・などは、予報士である必要はありません。なお情報協会は今のところ許可を得ていません。)

なので、会社に気象予報士がいるところが、必ずしも予報を出せるとは限りません。
(現在、島根県内では34名が予報士登録されていますが、実際に予報業務に携わっているのは、ほんの数名ではないでしょうか?)

(コピペ ここまで)

ただ、皆様からの色んなお声を聞くと、とくにこれからの時期は、天気が急変しやすく、そこにいる人にしかわからないこともあります。また、農業に携わる方も多く、大雨や早霜・遅霜など、今以上にこまめな情報として、事前に注意喚起を出す・・・など、何かしらのお役に立てればと個人的に思っているところです。

それと同時に、お天気に少しでも興味を持っている方がいたら、ぜひこの資格に挑戦してもらえたらと思います。基本的に好きが高じないと、なかなか勉強も面白くないと思いますが、逆に分かってくると、本当に奥が深く面白い分野です。また、予報士を目指そうとする方には、微力ながらも試験対策のアドバイスが出来ると思いますし。(ユーキ○ンなどの通信講座もありますが、お高いです><)

そんなところですが、またお天気の話題を中心に、これからも不定期でOSSを更新していこうと思っていますので、今後ともなにとぞよろしくお願い致しますmm

 

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(きた@気象予報士)

 

 

 

 

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あっという間に年が明け、もう1月も終盤。1年でもっとも寒い時期になりました。ご無沙汰しています。OSS担当のきたです。いろいろと忙しさ・・・というか、気分的に追い込まれているなかで放置プレイでした><

さて、いよいよ本格的な雪、というか想像以上に大雪となり、除雪作業にてんやわんやの町内です、
ワタシも、家からクルマを出す際に、道の真ん中でスタックしてしまい、近隣の皆さんに助けていただきました。(この場を借りますが、今朝方は本当にありがとうございました><)

ところで、1月15日の山陰中央新報(社会面)で、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)に関する解説が載っていました。こういう気象現象が詳しく取り上げられることは珍しいので、感心して読んでいました。今回の大雪や2010年~2011年の年末年始に発生した山陰豪雪は、いずれもこのJPCZが大きく関わっています。

まずは、その前段として、日本海側が世界的にも豪雪地帯となる理由についておさらいしてみましょう。

この時期の日本付近は、ちょうど温暖な空気と極側の冷たい空気の間になり、上空を強い西風が吹きます。日本の西には大陸があって、(特に北西のシベリア付近には)強い放射冷却により地表付近に冷たい空気がたまります。冷たい空気は重たくなり、地表付近にどんどんたまっていきます。こうして、大陸には背の低い高気圧が発達します。(日本の西に高気圧)

一方、日本周辺は海洋に囲まれ相対的に暖かい一帯になります。また、大陸南部も温暖なため、シベリア付近との熱的バランスが限界を超えると、それぞれが不安定さを解消しようと運動を始め、西風に揺らぎが生まれます。この揺らぎが、低気圧となります。

低気圧が日本付近を通過するときには、東(太平洋側)の暖気と、大陸から南下する寒気によって、運動エネルギーが大きくなり、結果的に低気圧が発達し日本の東に移動しながら、時に停滞します。(日本の東側に低気圧)

こうして、”西高東低”と呼ばれる気圧配置が出来ます。

大陸から噴出す冷たい空気は、もともとは乾燥した空気ですが、日本海を吹走するうちに、温暖な海水面から水蒸気(潜熱)と、顕熱の供給を受け空気が変質します。そして日本海で対流雲が発達し、日本海側に雪を降らせます。こうした地形的な理由こそ、日本の日本海側が世界的にも豪雪地帯といわれる所以です。

このとき大陸から噴出す寒気が、地形の影響を受け走向が変わることがあります。ちょうど北朝鮮あたりには白頭山と呼ばれる2,700m級の高山や山脈があり、この影響を受けて気流が分かれます。そして、山地の南北を迂回した気流は、下流で合流します。(収束といいます。) このとき合流した空気は、上空以外に逃げ場がないので、上昇流となります。この強制的に上昇させる力が、対流雲をさらに発達させるのです。

この現象でできる降雪帯を、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)と呼びます。
主に、北陸南部~山陰地方に影響を及ぼす現象です。

下の図は、今朝の風の様子。
昨日よりは収まっていますが、山陰沖に風が収束しているところが確認できます。

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(参考 earth:a global map of wind

今回の山陰の大雪、もちろん単純にいえば、強い寒気が南下したために起こったものですが、付加的な要因としては、この収束帯が山陰付近を直撃し、断続的に発達した雪雲がかかったことがあげられます。2010年~2011年の年末年始に発生した山陰豪雪も、同じように山陰沖に強いJPCZが発生し、松江以東で大雪となりました。(面白いことに、松江で56cmも積もりましたが、出雲市では10cm程度しか積もらなかった記憶があります。)ちょうどJPCZの雲帯の境が宍道湖辺りにあったのでしょうか。

一言で大雪といっても、様々な要因が影響しあって起こっていることがよくわかりますね。

今回の大雪は、もう少しで落ち着きそうですが、まだまだ除雪が追いついていない方が多いと思います。
除雪中の事故で亡くなられた方もいます。十分お気をつけください。

 

 

 

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(きた)

 

 

【OSS】 11月5日は世界津波啓発デー

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先日の鳥取県中部を震源としたM6.6の地震。突然鳴り出す携帯電話の地震速報と、ほぼ同時に襲った
強い揺れに、大変驚かれた方も多いかと思います。

また、震源に近いところでは、負傷したり家屋の損壊を被った方も多く、心よりお見舞い申し上げます。

私的にゆるい話で恐縮ですが、今回の地震発生時は、体調不良でお休みを頂いていたときでした。
うつらうつらしていたときに起こり、憤慨していました。また16年前の鳥取県西部地震の際も、お休みで
うつらうつらしているときに起こされたものでした。(もっといえば、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生時も、仕事の合間で、遅いお昼を食べて昼寝の真っ最中でした。) 
いつか私が、大地震が起きて行方不明になったときは、お布団を探して見てください・・・なんて、不謹慎なことばかり言ってますが。


さて、津波という言葉は、世界でもTsunamiと標記され、地震や噴火に伴って発生する波だということが知られています。津波の恐ろしさをまざまざと見せ付けたのは、間違いなく2004年12月のスマトラ島沖地震ではないでしょうか。(1960年のチリ地震(M9.5)でも環太平洋諸国に大きな津波被害が出ましたが、メディアの進化によって、多くの人が目撃できた例としては、スマトラ沖地震が大きいと思います。)

M9.1-9.3という、東日本大震災をも上回る巨大地震によってインド洋に津波が発生、世界で22万人以上が亡くなりました。このときの映像は、Youtubeなどで見ることが出来ますが、とくに日本ほど知識のない国の海岸では、津波による引き潮で現れた海底で遊んでいる観光客や地元民が多く波にのまれました。

また、2013年の東日本大震災では、地震に慣れている日本でも、津波の巨大なエネルギーになすすべなくのまれる家や人々、最悪の事故となった原発の爆発の瞬間など、リアルタイムで映像が配信され、世界中の人々が声を失ったと思います。

こういった津波災害をふまえ、津波などの自然災害の脅威について、一般の人々の認識を高めることにより、多くの災害の発生を防ぎ、多くの人の命を救うことなどを目的に、日本が主導して国連に提案され決定したのが、この世界津波啓発デーです。(昨年12月に制定され、今年が第1回目)

この11月5日は、もともと日本の「津波防災の日」で、1854年の安政南海地震の日に由来しています。
ただし、この地震の被害が大きかったから・・・ではなく、「稲むらの火」という津波災害から人々を救った逸話から、防災意識を高めるためという意図で定められたそうです。さらには、過去11月5日には、世界でも大きな地震被害が起こっていないことから、第3回国連防災世界会議において、この日に決まったということです。

話変わって、私たちの住む山陰地方(西日本の日本海側)では、このところ大きな津波被害と縁がありません。
しかし、日本海沿岸で見ると、昭和39年の新潟地震や昭和58年の日本海中部地震、また平成5年の北海道南西沖地震では、津波による壊滅的な被害が出たところもあります。特に北海道南西沖地震では、最大遡上高が30m以上と、局所的には東日本大震災に匹敵するような大津波が発生しました。(この地震は、私が学生時代に地震について興味をもったきっかけのイベントで、今でも当時のニュースが脳裏に焼きついています。)

島根県の沖合いにも、この程度の地震を引き起こすかもしれない断層が見つかっていて、もし10m級の津波が発生したら、境港から米子、松江、出雲など壊滅的な被害を受ける可能性もあります。

ここで参考までにご紹介ですが、googleマップと連動し、海面水位が上がるとどれくらい浸水するのか・・・というホームページがあります。
(津波は、進行する波というより、急激な海面上昇・下降と捉えたほうが正しいです。)

Flood Maps といって、例えば海面が5m上昇すると、

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画像のくすんだ青色の部分が浸水する、と見ることができます。

もちろん、もっと拡大して詳細なマップを見ることができるので、ぜひご活用ください。


地震・津波の発生は、少なくとも現代の技術では避けようがないものです。

しかし、ひとりひとりの防災意識によって、出来る限り被害を少なくすることができます。

この世界津波啓発デーを機に、改めて防災について考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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10月に入り、朝晩の冷え込みもだんだんと厳しくなってきました。
今朝の最低気温は、横田で5℃台と、もう毛布1枚では風邪を引きそうな気温です。
また10月というのは、秋の行楽やお祭りなど、各地でさまざまなイベントが行われる時期です。

そうなってくると、みんなが注目するのが天気予報、
「あしたは冷えるかな?」「日曜日の天気はどうかな?」と、テレビやインターネットでの気象情報が
気がかりな方も多いでしょう。

今回は、前回に引き続き、天気予報にまつわるお天気用語について、意外と知らない言葉の定義に
ついてのお話です。

表題の 「 くもり時々晴れ 朝のうち一時雨 」 ・・・こんな天気予報、よく耳にします。
または「 晴れ時々くもり 夕方一時雨」 ・・・など。

前半の、「 くもり 時々 晴れ 」 と、「 晴れ 時々 くもり 」、 同じように聞こえますが、「時々」という言葉に
ちゃんとした定義があります。それが、

 時々 = 予報期間のうち、2分の1未満の時間で、 断続的にその現象が起こること 

つまり「くもり時々晴れ」 では、 くもっているが、半分未満の時間は、晴れ間もさす ということ。
また、「晴れ時々くもり」では、 晴れているが、半分未満の時間で雲が太陽を隠す ということです。

では、「 一時 」とは、どういうことでしょう? 
決して、午前(午後)1時にそれがおこるということではありません。また、一時的にその現象がおこる
というあいまいなものでもなく、

 一時 = 予報期間のうち、4分の1未満の時間で、継続的にその現象が起こること

を言います。

つまり、「朝のうち一時雨」 は、朝の時間帯の4分の1未満の時間、雨が降り続く・・・ということ。

ここで、ひとつややこしいのが、 時々 = 断続的 , 一時 = 継続して という使い分け。
予報と、実際に発生する現象では、もちろん言葉通りに行かないこともありますが、コンピューターの
予測結果によって、続けておこるのか,そうでないのか、の予報が分かれています。


さて、表題の天気予報には、もうひとつ気象用語が隠されています。
それが、時間帯を示す 「朝」 という言葉。
私たちが一般的に使う「朝」という言葉は、その人が活動する時間帯によって、5時前だったり
8時過ぎだったり、まちまちです。

そういう解釈の違いをなくすため、午前0時から24時までを以下のように細分して、名前をつけています。

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(0~3時=未明/3~6時=明け方/6~9時=朝/9~12時=昼前/12~15時=昼過ぎ
15~18時=夕方/18~21時=夜のはじめ頃/2時~24時=夜おそく )

 なので、表題の天気予報を正確に訳すると、

くもり 予報期間の2分の1未満で 何度か晴れ間が出る 
また、午前6時~9時までの間4分の1未満で、雨が降り続く

 という、なんともややこしい文になります。

裏返してみれば、予報文というのは、なんとも分かりやすく要約されていることに気が付きますね(^ー^

 

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ご無沙汰していました。別に夏休みというわけでもなかったのですが、ようやくのOSSの更新です。

今年に入り、当初は台風がなかなか発生しないことが話題となっていました。
今年の台風第1号の発生は7月3日で、史上2番目に遅い記録となりました。
その台風1号が、いきなり”猛烈な”台風になったことは、わりとご存知の方も多いかもしれません。
その後は、ハイペースで台風が生まれ、現在では南の海上で、台風18号が日本をうかがっています。
(参考までに、9月末での台風発生数の平均(1951-2010)は18.8個です。) 
この台風18号も、”非常に強い”台風へ発達する予報が出ていて、早めの準備をお勧めします。
>>
最新台風情報はこちら(気象庁ホームページ)

 
この台風の強さを表す言葉、現在では以下の3種類が使われています。
それぞれ、『強い』 < 『非常に強い』 < 『猛烈な』 と、順に強くなっています。

また、テレビなどで見ていると、日本の気象情報(台風情報)では、ほとんどの場合
「台風X号は、中心気圧が XXX hPa、中心付近の最大風速が XX m、最大瞬間風速は XX m、
中心から半径 XXX kmでは、風速25m以上の暴風が吹いています。」
というような解説が流れます。

このことから、(日本では)台風の強さを中心気圧で考える方が多いのですが、上の台風の強さを表す階級は、中心気圧ではなく中心付近の最大風速で分類されます。

簡単に、テレビや情報サイトでの表現に合わせて分類すると、中心付近の最大風速が
 35m/s以上=”強い” 台風 (厳密に言うと、33m/s以上)
 45m/s以上=”非常に強い” 台風 (厳密に言うと、44m/s以上)
 55m/s以上=”猛烈な” 台風 (厳密に言うと、54m/s以上)
となります。

中心気圧は、あくまで個人的経験上の目安になりますが、概ね910hPa以下になると、猛烈な台風になる感じです。が、過去にはそれ以上でもそれ以下でも、猛烈になったり、ならなかったりということがあり、中心気圧のみで台風の強さをはかることはありません。
JTWC(米軍合同台風警報センター)の台風情報では、そもそも中心気圧が発表されておらず、最大風速で評価されており、日本でも本来であれば中心気圧よりも先に、最大風速から発信してほしいものです。

 
台風以外にも、言葉として”猛烈な”という表現がよく使われる日本、頻繁にテレビなどで耳にする量的表現がこちらです。

「1時間に20mm以上の”強い”雨が降る見込み」とか、
「●●県××市付近では、12時までの1時間に100mmの”猛烈な”雨が降りました。」とか。

降っている雨が「本降り」だとか、「すごい雨」だというのは、個々の感じ方によって違い、基準としては成り立ちません。このため、お天気用語として、”強い”雨、”猛烈な”雨など、ちゃんとした基準が定められていて、

1時間雨量(10分ごとに解析・発表)で、
 10mm以上=”やや強い” 雨
 20mm以上=”強い” 雨
 30mm以上=”激しい” 雨
 50mm以上=”非常に激しい” 雨
 80mm以上=”猛烈な” 雨
となっています。

先日のニュースで、アナウンサーが「 某所で1時間に79mmの非常に激しい雨が降りました。」と言っていました。(・・・あー、あと1mmで猛烈な雨だったな・・・と、不謹慎に考えていたのは内緒です。)
もちろん、ニュースで話す雨量もこの基準に則っているので、知っておくとまたひとつ違った方向から天気概況を聞くことが出来るのではと思います。

このほかに、海上の波の高さについても、
 2.5mを超えると、波が高い
 4mを超えると、しけ
 6m超で、大しけ
 9mを超えると、猛烈にしける
という基準があります。(2.5m以下にも4段階の表現あり。)

こういったお天気用語、覚えておいて損はないかなーと思います。
次回も、お天気用語でわかりにくい表現のアレ・コレについて、書いてみたいと思います。

 

 

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気象庁から、異常天候早期警戒情報として、猛暑に関する情報が発表されています。
向こう1,2週間、平年に比べてかなり暑くなる予報が出ていますので、外仕事はもちろんのこと、
家の中でも上手にエアコンを使うなどして、熱中症に十分ご注意ください。
向こう1ヶ月の季節予報でも、平年より暑くなる確率が70%となっていて、まもなく立秋を迎えるも、
残暑厳しい初秋となりそうです。

さて、今回のOSS半分身内からなのですが、雨雲レーダーに関する質問があったので、
こちらで紹介したいと思います。

質問: 雨雲レーダにうつっていないのに雨が降ってるけど、なんで?

この質問を受けたとき、奥出雲では弱い雨が降っていました。
肝心の雨雲レーダーの画像を保存し損ねたのですが、このときの雨雲レーダーでは、
確かに奥出雲付近には、全く雨雲の反応がありませんでした。

通常は、下の画像の例のように、雨雲の反応がある地点で、その強さに応じた降水があるのが
普通ですよね。
oss160805sample.png

 

雨雲レーダーは、全国20箇所に設置してあり、24時間雨雲の観測を行っています。
けっこう知らない方も多いかもしれませんが、日本全国でたったの20箇所しかありません。
しかし、これでも山岳が多い日本全国をカバーでき、世界的にはとても整備されています。

ちなみに、奥出雲町の周辺では、松江市の北山(三坂山)と、広島呉市にレーダーが設置されています。

oss0805-1.jpg

 
このレーダーが360度回転しながら、少しずつ角度を変えつつ、上空に向けて電波を発射します。
電波が進む先に何もなければ、そのまま返ってきませんが、雨雲降水粒子)が経路上にあると、
それにって散乱し、レーダーに帰ってきます。
この反応強度を、わかりやすく図にしたものが、上でも紹介した雨雲レーダー画像になります。

しかし、この電波は、わずかな角度ながらも上空に向けて発射されるため、レーダーから離れるにつれて
低い高度の観測が難しくなります。
実際には、大気の屈折により地球に沿うように曲がっていきますが、曲率は地球に比べて
ずっと小さいため、やがて低い高度の観測がむずかしくなります。

rader.jpg


上の図で、真ん中に描かれている積乱雲を例にすると、積乱雲を通過する電波は、その一部が
降水粒子によっ
て散乱し、そこに雨雲があるということが分かります。
しかし、右の雲では、発射された電波よりもさらに低い高度にあるため、
レーダーに捉えられず
雨雲がないのに、雨が降っている・・・という状況になります。

このような事例で多いのが、低い位置に滞留する雨雲や、層雲(霧の雲)から降る霧雨などです。
とくに、層雲の場合は、形成される降水粒子自体も小さいため、レーダーに反応しにくい面もあります。

 

また、上の図で、一番低い高度に向けて発信された電波が、障害物にぶつかって観測が出来ない
という例を描いてみました
例えば東京のレーダー(気象大学校に設置)では、下の図のように、障害物によって観測ができない
領域が時々現れます。

oss1608056-2.jpg

このほか、レーダーを中心にドーナツ状に強い項水域が現れるブライトバンド(雲の中の融解層が
強い散乱を起こし、強い雨雲として表現される)
や、シークラッター(波のしぶきなどに反応)、
エンゼルエコーなどといった変わった現象が、レーダーに現れることがあります。
(このうち、ブライトバンドは、比較的見つけやすいです。その他のエコーは、専門家でもわかりにくい
 ものもあります。)

この時期、急な夕立などが起こりやすく、雨雲レーダーにお世話になることも多いかと思いますが、
ぜひ、雨雲レーダーだけでなく、空を見上げて、見える範囲の雲とレーダー図を比較してみてください。
きっと、面白い発見や新たな疑問が出てくると思いますよ♪

 

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発生が史上2位の遅さとなった台風1号、台湾を直撃した後、中国華南へ再上陸して消滅しました。
”1号”としては観測史上最強となり色々と話題を呼びましたが、日本への影響はなく一安心といったところです。
逆に、当初の予想進路の通り進んでいくと、朝鮮半島から日本海へ抜けるはずだったので、このまま梅雨明けが早まるかな
ーと素人ながらに期待をしていたのですが、それも叶わず・・・。

前回から引き続き、梅雨時期は体を壊しやすいという説を身をもって証明している、担当(きた)です。
梅雨明け間近な時期ではありますが、いよいよ7月30日には、県下最大級の花火大会「松江水郷祭」が
行われます。約1時間で1万発もの花火が上がる様は迫力満点。
また、宍道湖上で上げるということで、湖面に映る花火の美しさは、なかなか味わえないものです。

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例年、当日の周辺混雑は果てしなく地獄の様相を呈していて、松江出身の筆者も、さすがに出かけるには二の足を踏んでいますが、ジョーホー奥出雲では、ネットワーク生中継として、松江マーブルが行う生中継を放送します。今年も、自宅にいながら楽しんでいただけるので、なかなか出かけるの億劫というかたは、ぜひご覧ください。

そこで、今回は色とりどりの花火について、夏休みの研究にもなりそうな視点からも紹介したいと思います。

みなさんが、新聞紙や木を燃やすとき、どんな色の炎がみえますか?
消防署のポスターを描いた子どもの絵には、炎が真っ赤にえがかれていました。
また、みなさんがよく想像する炎の色は、オレンジ色か黄色が一番おおいと思います。

花火の火薬には、じつは様々な種類の粉(元素)が混ぜられています。
この粉が燃えるときに、それぞれに特ちょうのある色が出ます。
この現象を、炎色反応(えんしょくはんのう)と呼びます。

たとえば、ナトリウムという元素は黄色、上の例の消防署のポスターに描かれた真っ赤な炎は、
ストロンチウム(またはリチウム)という元素の色です。
こういった元素の粉が、高温によって発色することで、あざやかな花火などがつくられています。

 ナトリウムの色は、身近なところでは、トンネルにつけられた黄色(オレンジ色)のライトが有名です。
これはナトリウム灯といわれ、ナトリウムの元素が電気の力で高温に発光したもので、少ない電力で
とても明るくともることから、全国で広がりました。

ただ、トンネルの中でカラー写真をみてもほとんどが灰色に見えるように、ナトリウム灯の光は、
そのほかの色を目立たなくしてしまいます。また、最近では技術がすすみ、太陽光に近い白色の光でも、
少ない電力で明るくともる、LEDライトのようなものが開発されてきました。
このため、トンネルなどのライトにも、白色光が採用され、また入れ替わっています。

話はもどりますが、この炎色反応は、家庭でも再現することができます。
(※実験には火をつかうので、必ず大人の人と一緒に行ってください。)

たとえば、身近な塩は、塩化ナトリウムを主成分としていて、スプーンやアルミカップ(お弁当で使うもの)に
少量の塩と水とアルコール(できればメタノール)を入れて点火すると、黄色い炎があがります。
ガスレンジで、調理中のみそ汁が吹きこぼれたときに、黄色い炎が見えることもあります。
このほか、薬局でも販売しているホウ酸には、ホウ素という物質が含まれていて、この物質は黄緑色の
炎をみることができます。
また、料理で使われるミョウバンや、カルシウムの粉末などでは、どのような色がでるでしょう・・・??

 ※ジョーホー奥出雲のコーナーだったら、実験してお見せできるのですが、
ブログ内のコーナーなのが残念ですね(^^;

 

さて、ここからは大人の方向けの余談です。
私は高校時代に、炎色反応を起こす主な物質を習いました。
化学には、よく呪文のような覚え方があって、例えば「水兵リーベぼくの船・・・」なんて、超有名です。
これは、元素を軽いほうから順番に並べた覚え方で、
水素 ヘリウム リチウム ベリリウム ホウ素炭素 窒素 酸素 フッ素 ネオン の頭文字をまとめたもの。

これと同じように、炎色反応で習ったのは、「するりとかるくなわばりほどく」 でした。
ストロンチウム リチウム カルシウム ナトリウム バリウム ホウ素 銅 カリウム  の頭文字ですが、
虹の色の並びに近く、とても憶えやすかった記憶があります。

 

ところが、多くの人に聞くと、

「リアカーなきK村 動力借るとするもくれない馬力」 

という呪文(憶え方)を習ったそうです。
リチウム(赤) ナトリウム(黄) カリウム(紫) 銅(緑) カルシウム(橙) ストロンチウム(紅) バリウム(緑)
だそうで、初めて聞いたときは「???」でした。

化学の授業を受けた記憶がある方は、どちらで教わったでしょうか?


夏休みの自由研究、子どもより大人のほうが大変だったり、熱中してしまったりする話をよくききます。
この夏、ぜひ色んな科学あそびを通して、理科好きっ子が増えてほしいなと思います。

 

奥出雲サイエンススクエアでは、日常の科学分野に関する皆さまのふとした疑問に、
スタッフが可能な限りお答えします。
また、この記事などがきっかけで、ぜひ科学分野に興味をもってもらえたらと願いつつ・・・。
なお、記事の内容は、ほとんど担当の記憶で書いていますので、誤りのご指摘や
異なった見解、ご意見ご要望なども、ぜひお待ちしています。 

諸々のあて先は、以下の通りです。
support@okuizumo.ne.jp

では、また次回もお楽しみに___〆(・ェ・^)そほど。

(きた)

 

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こんにちは、梅雨時期は体を壊しやすいという説を身をもって証明している、OSS担当の(きた)です。
この時期は、あつい、ねむい、しんどいの3連コンボですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
毎回
「これを書こう!」というストックがないため、話題に悩んでいたところですが・・・。

今朝の新聞やテレビのニュースなどで、地球のオゾン層が回復していると報道されました。
1980年代に初めてオゾンホールが発見され、拡大の一途をたどってきましたが、その後オゾンを破壊する
きっかけとなるフロンなどの規制が強化され、2015年に、めてオゾンの回復が認められたとのこと。
人類が、協力して地球環境を保護しようとした活動の成果がはっきりと示されたことは、大きな意味を
持つことでしょう。

ところで、毎年秋ごろ(南半球での春)に、南極でのオゾンホール発生がニュースになります。
このオゾンホールとは、ご存知のようにオゾン層に穴が開いたように見える現象で、そこではオゾンが
相対的に減少(激減)しているところです。
このオゾンホールは、なぜできるのでしょう? また、なぜ南極にできるのでしょうか。

オゾンは、主に低緯度の成層圏下部で生成されます。
詳しい
過程は省略しますが、ざっくり言って、太陽からの紫外線によって、酸素分子(酸素原子2個)と、
酸素原子が合体し、酸素原子3つで構成される不安定な物資ができます。これがオゾンです。

成層圏では、低緯度から高緯度に向かって大気循環(ブリューワー・ドブソン循環)が存在しています。
この作用で、低緯度から高緯度にオゾンが輸送されます。このため、年間を通して平均すると、オゾン量は
高緯度ほど多くなります。

さて、もっともオゾン層を破壊する物質として有名なのが、フロンです。フロンは非常に安定した気体で、
対流圏では、反応をほとんど起こしません。しかし、その上層の成層圏では、強い紫外線によりフロンが
分解され、そこから塩素原子が発生します。この塩素も、大気循環によって、極域に運ばれていきます。

ところで、高緯度では、夏と冬で太陽からの日射量に大きな差があります。
特に、冬の極地では一日中太陽が出ない期間があります。このため、極地の大気はマイナス○○℃という
とても低温になります。
また、冬期には極地を囲むようにな大気の流れ(極渦)があります。
この極渦によって、周囲との空気循環が阻まれて、放射冷却により大気の温度はさらに下がります

このとき、成層圏の温度が-78度以下になると、極成層圏雲という特殊な雲が発生します。
極成層圏雲は、その表面にフロン由来の塩素を固定し、蓄積されていきます。
ここで、春になり太陽からの紫外線が届くと、塩素などが乖離し、活性化します。
この活性化した塩素原子が触媒の働きをして、オゾンを破壊していきます。

このことが、オゾンホールが春先に発生する理由です。
しかし、南極でのオゾンホールは有名ですが、北半球(北極)でオゾンホールが発生したというニュースは
あまり聞きません。

もちろん、同じ原理で北極の冬にも極成層圏雲ができやすい状況となります。
しかし、決定的な違いは、北半球の地球表面には、陸地が多いことです。

地球規模の偏西風は、大規模な山脈や海陸の熱コントラストなどの影響で蛇行分断されます。

この波動が北半球では大きく、極渦がその影響を受け、極域の成層圏の温度低下が鈍くなります。
また、時に数日で数十度も温度が上がる、成層圏突然昇温という現象も見られ、これもこの波動の
影響によるものと考えられています。

これらから、北極でもオゾンホール(オゾンの減少)は発生していますが、南極のように大規模なものは
起こらないということになります。

一説には、21世紀後半には、オゾンホールがほとんど発生しないくらいに、オゾン量が回復するとも
言われています。人間活動による環境破壊が止まることはしばらくないかもしれませんが、少しでも長く
”本来の地球環境” が維持していければと願うところです。

 

奥出雲サイエンススクエアでは、日常の科学分野に関する皆さまのふとした疑問に、
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また、この記事などがきっかけで、ぜひ科学分野に興味をもってもらえたらと願いつつ・・・。
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(きた)

 

 

 

【OSS】 大気の状態が不安定ってどういうこと?

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沖縄地方では早くも梅雨が明け、夏本番となりました。
一方で、中国地方ではこれから梅雨の後半、いよいよ本格的に雨の季節、大雨にもっとも気をつけ
なければいけないシーズンとなりました。

また、この時期、昼からもくもく雲が発達して、雷がなったり局地的に大雨が降ったりします。
そのようなときによく聞くのが、「大気の状態が不安定となって~」という天気予報の言葉。
この「大気の状態が不安定」とは、一体どのようなことなのでしょう?

今回で10回目となったOSS(初回の告知を除く)、記念回はこのことについて書いてみたいと思います。


まず、水も空気も、「暖かいものほど上に行く」というのが大前提です。
お風呂を思い出してもらうと分かりやすいですが、「お風呂の上ほど熱く、底のほうが冷たい」というのが
良い例です。

ところが、地球の大気は地上に近いほど暖かく、上空に行くほど気温が低くなります。
「そもそも、この状態自体、不安定ではないのか?」 
と、この時点で、すでに疑問がわいてきますね。

ですが、これは大気の密度が上空に行くほど小さくなる(=空気が薄くなる)ためで、高校生ぐらいになると
熱力学の基本式として習ったような習わなかったような・・・。そして、第2回の「冷たい雨」の項目でも出て
きましたが、平均すると上空へ上がるにつれ 6.5℃/1000m  という気温減率を持っています。

もう少し突っ込んでみると、実は乾燥した空気と湿った空気では、この気温減率が異なります。
上昇する空気が周囲と熱のやり取りがないと仮定して、乾燥した空気(厳密には水蒸気を含んでいても
飽和していない空気)は、10℃/1000mの気温減率となっています。
また、湿った空気(飽和している=湿度100%の空気)は、5℃/1000m の気温減率となっています。

これらをそれぞれ、乾燥断熱変化と乾燥断熱減率,湿潤断熱変化と湿潤断熱減率 といいます。

ここで、乾燥断熱変化について考えてみます。

乾燥した空気は、乾燥断熱減率に従って大気中を上下します。
このとき、地表付近の1000hPa の気圧になったところの温度(絶対温度K)を、”温位” と定義しています
(すなわち、乾燥断熱減率に従って上下する空気塊は、温位が一定となります。)

飛行機に乗ったことがある人は分かるかもしれませんが、機内アナウンスで
「ただいま上空1万m、気温は-50℃(絶対温度223K)、速度は~」といった説明があります。
上空1万mともなると、気圧は地上の1/3以下となり、とても空気がうすく寒い世界という印象です。

しかし、-50℃の空気を1000hPaの気圧に圧縮すると、乾燥断熱変化により50℃にもなります。
機内の気圧・温度が1000hPaで20℃とすれば、外の空気を圧縮してから、30℃も冷やさないと
いけないことになります。の例でいえば、飛行機の外の空気は、温度は-50℃(223K)でも、
温位は323Kとなります。

もうなんとなくお分かりでしょうか?

大気中を上下する空気は、その温度ではなく 温位 によって、安定か不安定か が分かれます。

”大気の状態が安定”というのは、上空へ行くほど”温位”が高い状態をいいます。

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より難しくなりますが、湿潤断熱変化については平均的な気温減率よりも小さくなっています。
これは、空気中の水蒸気が水へ変化(凝結)する際に、潜熱という熱を放出して空気塊を暖めるためです。
このため、周辺の気温より、空気塊の温度は常に高い状態となり、凝結を続けながら上昇していきます。

大気の気温減率が乾燥断熱減率よりも小さく、温位が上がっていっても、気塊中の水蒸気が凝結していく
と、その空気塊の方が暖かく上昇を続けていく場合、その大気は不安定となります。

このような、水蒸気の凝結によって不安定となる場合、大気の状態が 「条件付き不安定」といい、
雲が成長する主なしくみです。


ちなみに、上空に行くにつれ、乾燥断熱減率よりも大きく気温が下がっている場合を、絶対不安定と
いいます。この場合は、対流によってすぐに解消されるため、強い日射による地表の加熱など、
外的要因がない限りは、ほとんど起こりません。

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これから、とくに大気の状態が不安定という言葉をよく耳にする季節になります。

上のしくみを知っておくと、もくもく雲が成長する様子も、また違った目線で楽しめるかもしれませんね♪

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(きた)