くにびきジオパークプロジェクト現地見学会、無事終了

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 10月6日(日)に行われた現地見学会、50人近い参加者で天候にも恵まれて非常に充実した見学会になりました

 ジオパークとは、ジオ=地質というイメージがありますが、この場合ジオ=地球で、地球の歴史や営みがつくる景観、そしてこれを活かして生活する様々な生きものや人間の生活とその関わり合いそのままを保存・活用し公園化するという試みで、エコミュージアムやエコツーリズムに通じるものでもあります。ベースの部分に当然「地質」というものがあるのですが、大事なのはこれを統括して理解することです。

 ジオパークを真に理解しようとすれば、コアの部分で当然地質・地学の知識がは必要になりますが、逆に、ジオパークを触媒とした地質・地学に関する部分の教育普及活動をより盛り上げることもできるわけです。

 奥出雲町内では地質学的に貴重であると思われる場所はいくつもありますし、今後くにびきジオパーク構想が軌道に乗れば町内のそういった場所を開発整備していく必要も出てきます。そういった意味で今回の見学会はテーニングポイントでもあるわけです。

 

 さて、今回は島根大学総合理工学研究科の亀井淳志先生と高須晃先生、奥出雲町教育委員会の高尾昭浩氏、そして多根博菅田が案内人として各地で説明していきました。メインは花崗岩岩石学が線紋の

 10:20に横田庁舎に集合出発後、鬼舌震へと向かいます。ここはいうまでもなく、奥出雲町内でもカコウ岩を大量に見学できる場所でもありますが、天然記念物指定としての価値を決定づけた規模の大きな「ポットホール(甌穴)」があることでも知られています。元々風化作用を受けていないな花崗岩は非常に硬いものですが、川の流水のはたらきによって徐々に波うったた形へ変わっていきます。この波うったくぼみになる部分は水が渦を巻きやすく、かつ水のエネルギーが大きくなり、さらに流れてくる砂や小石が巻き込まれるとこれらが花崗岩を削り込むこととなり、くぼみがひろく大きくなります。こうしてできるのがポットホールで、川沿いの均質な岩盤にはしばしば見られます。鬼舌震の場合はこれが比較的大きく成長していることが特徴です。

 もっとも今回は花崗岩そのものを見ること、花崗岩の中の鉱物を見ること、そして本当に磁鉄鉱が花崗岩中に多いのかどうかを体験することがメインで、ついでに参加した皆さんに最近できた新遊歩道と吊り橋を紹介するといった形になります。本当に磁鉄鉱が多いのかどうかを確認するには、やや強めの磁石を用います。花崗岩のそばに糸でつった磁石を近づけると、磁鉄鉱を含む場所で引き付けられる現象を体感できます。これが山陰側の花崗岩の特徴で、山陽側の花崗岩では全く反応しません。一般的に砂鉄とよばれるもの中には磁鉄鉱とチタン鉄鉱があるのですが、山陽側の花崗岩には磁鉄鉱がほとんどあるいは全く含まれていないことから、このような区分ができるわけです。

 

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 はんど岩の下で説明や磁石の体験をしたあとにめいめいで昼食をとり、それから新遊歩道を通って吊り橋へと向かいます。遊歩道沿いの山の中にもまた変わった岩があり、それぞれ名前を付けていくのも面白いものです。また吊り橋は写真で見るのと実物を見るのは大違いで、実際はかなり迫力のあるものです

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 鬼舌震から次は、福頼地区かんな流しによる地形改変と内谷の鉄穴流し(かんなながし)施設の見学です。

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 横田地区南部の丘陵地域は磁鉄鉱を多く含む花崗岩が風化した真砂でできており、ほぼ過去の鉄穴流しでつくられた地形で、これにより傾斜の緩やかになった場所には次々と新たな水田が開発され、鉄穴流し用につくられた用水施設はそのまま水田用に転用されました。海外では鉱山跡は重金属や有害物質により不毛の地になってうち捨てられるのが普通なのですが、奥出雲のように砂鉄採取の鉱山に当たる鉄穴流しの跡地が農地として利用される例は皆無に等しいことから、これだけでも非常に価値のある景観・地形であることがわかります。

 

 最後に向かったのは小馬木鉱山跡地です。ここは明治時代に横田から高野へ抜ける道路の拡幅工事の時に見つかったタングステン鉱物が契機となって鉱山としての歴史が始まりました。雲南地域の花崗岩体ではあちこちでモリブデンの鉱物である輝水鉛鉱を採掘する鉱山が開発され、特に雲南市大東町にある鉱山は国内でも最大規模の埋蔵量を誇っています。またこの鉱山の元になる鉱床ができたときの活動で非金属元素であるカオリナイトやセリサイトの鉱山もつくられ現在でも稼働しています。花崗岩中のモリブデンも山陰側の花崗岩としての特徴で、これが山陽帯ではタングステンがメインの鉱山が多く開発されています。

 小馬木鉱山は最初にタングステンその後モリブデンの鉱山として稼働し、昭和の終わりに休山しました。現在坑道入り口は封鎖され当時の事務所と水利施設だけが残っています。鉱山跡周辺でモリブデンの鉱物(輝水鉛鉱)やタングステンの鉱物(鉄マンガン重石:現在の呼び名は「鉄満重石」)、黄鉄鉱や黄銅鉱、まれにガーネット(ザクロ石)等が採集できます。今回の見学会に参加した人たちも、熱心に輝水鉛鉱を探して満足のいく物が採集できたようです。

 

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 今回の見学会では、参加者のみなさんの間から自分の足元がどのようになっていて、どのようにできて、どんな歴史を持っていて・・・といったことに親しみを持ちまたは理解しといった空気が感じられました。より興味を持って勉強して行って頂ければなぁ、と思いますし、博物館でも今回の見学コースをはじめ、そのほかにもある見学地にふさわしい場所・・・たとえば恐竜が地上を闊歩していたころの火山の地層や海抜1000メートルにある1600万年前の海の地層、三瓶山から飛来した降下軽石など・・・・・を紹介し、1億年に迫る奥出雲の地史に関してより深く興味を持ってもらえるといいなぁ、と思います。

 

 

 

 

 



 

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