とっておきの不思議なお話 13

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(無題)   S.M

 

僕は、小学五年生の悠大だ。普通の学校生活を楽しく送っている。だが下校の今、ヤバイ事態におちいっている。

黒い車が僕の近くに停まり、そこから男が出てきて僕のところに歩いてきた。そして男がこう言った。

「僕、何って名前の子なの。」

そう言われた瞬間、僕は誘拐犯だと思いとっさに大声を出し逃げた。

「おい、待て。」  

誘拐犯が追いかけてきた。

(なんだこいつ。メチャメチャ速えぞ)

誘拐犯はとても速く、すぐに追いつかれた。

(僕も、もう終わりなのかなあ)

 そう思っているうちにハンカチで口をおおわれた。

(ヤバイ。息ができなくなるのか)  

だが、急に眠くなった。声を出そうと思っても声が出せない。体を動かそうとしても体に力が入らない。

(どうしよう)

そう思ったが目が閉じてしまった。  

気が付いたらそこはいつも歩いている道路ではなかった。そこは、建物もない、木がおいしげっているジャングルらしき場所だった。

(ここ、どこだよ)

そう思ったら、とんでもないものが目に飛び込んできた、目に飛び込んだものは、なんと恐竜だったのだった。

(なんで恐竜なんかいるんだよ。っていうかさっきの誘拐犯どこに行ったんだよ)

 そう思っているうちに翼竜が近づいてきた。

(ヤバイ、ぶつかったら死ぬぞ)  

だが翼竜はすれすれでよけて空へ羽ばたいていった。

(危ねえ。死ぬところだった。ていうか、恐竜がいるってことは、もしかして、タイムスリップしたのか!)

 そんなことを考えていると、さっきの誘拐犯が突然に現れた。

「おい、なんで僕がこんな所にいるんだ。」

「それは、教えてあげられないよ、じゃあまたね。」

 そう言うと誘拐犯は消えていった。

「おい、待てよ。」

(誘拐犯はどこに行ったんだよ。これからどうしよう。ここには誰もいないだろうし……。まあ歩いてみるか)  

そして僕はあてもなく歩き出した。歩いていると中にも色々なことを考えていた。自分がなぜここにいるのか。あの誘拐犯は何者なのか。そういうことを考えていたら、大型の恐竜が僕を見つめていた。

(あの恐竜何で僕の方を、ずっと見ているんだろう。襲いそうな雰囲気でもないし、近づいてみるか)

 そう思い近づいてみると、とんてもないことが、起こった。

「おい、悠大。」  

恐竜がしゃべった。たしかにしゃべった。だが、僕は信じられなく、内心、

(恐竜がしゃべるわけねえか。僕の頭、おかしくなったのか。)  

そう思ったら恐竜がしゃべった。

「おまえの頭がおかしい訳じゃないぞ。」

(この恐竜はどうやら思っていることが分かるらしい。そんなこと本当にあるのか。)

 そんなことを思っている内にだんだん眠くなり始めた。

(もうちょいここにいたいのに。)  

そう思っている内に意識がとだえてしまった。  

 

気がついたら連れ去られた場所だった。手には何かをにぎっていた。手をひらいてみると恐竜の骨だった。

「夢じゃなかったのか。」  

思わずつぶやいてしまった。  

それから何日か過ぎた。だが、特に変わったこともない。ただ一つ変わったことがある。それは信じられなかったことが信じられるようになったことだ。だから何か不思議なことがあっても僕は動じない。また恐竜が現れても。